第五話 永久の旅
あれから、幾つの世界を渡ってきただろう。幾つの死を越えてきただろう。何処の世界に行っても、空の色だけは変わらない蒼だった。
今度辿り着いた世界は何処だろう? ……調べれば解ることか。
僕は世界のデータにハッキングをかけ、サーバ名とワールド名を調べる。
……サーバ名【アルファ】ワールド名【コア】。何だか変な名前だな。始まりの核……?
ぼんやりと考えていた僕の所へ、何体ものロボットが姿を現す。不正アクセスといえば不正アクセスだが、一応僕は世界を渡るフリーパスを持ってた筈だけど?
どうやら此処の主はそう優しくはないらしく、ロボット達は機銃を構えると、何も言わずにソレのトリガーを一斉に引いた。
僕は背から展開させた翼によってソレを全て引き裂く。感情を持たないらしく、無機質な動きで再び彼らはトリガーを引いた。
ソレを僕は再び切り落とす。そんなやりとりが七回ほど続いただろうか、ガシャコンと音を立てながら変えていたマガジンも遂に尽きたらしく、ロボット達はレーザー剣を抜き、僕へと跳びかかってくる。
跳びかかってきたロボット達を僕の翼がツァ、となぞるように切り裂いた。ゴトゴトと音を立てて落ちたロボット達が動くことはもう無かった。
「流石ですな」
声がかけられる。遙か空から聞こえたその声に僕は答える。
「……ログインするのにテストが必要なのかい?」
いやはやお見事、と。僕を無視するようにして声――男性の声。恐らく管理者だろう――は喋る。
「貴方のログインを認めましょう」
そう言った次の瞬間、男からの声は無くなった。……やっぱりテストのような物だったらしい。
まぁ、これぐらいなら楽な物だが、と立ち去ろうとして、矢っ張り僕は立ち止まった。後ろを見ると、ロボット達が虚しく転がっている。
僕はそれに手を翳すと、今度こそ其処を立ち去った。
街に向かって歩く僕の後ろから、ガシャガシャとロボット達が立ち上がる音がする。久しぶりに使った力だったが、上手く修復出来たようで何よりだ。
「お仕事ご苦労様」
僕がそう言うと、ロボット達は一斉に散開した。恐らくあの街の護衛とかの役目にでも戻ったのだろう。
街の中にはいると、其処はなかなかに愉快な場所だった。ロボット達が音を立てながら歩き、人間はソレに乗ったり、一緒に遊んだりと。
確かどこかの文明でもこういう光景を見たことがある。……ロボット達はもうちょっと小さかったけれど。
こういう何の感情を持たないロボット達を相手にしていると、つい彼のことを思い出す。何故か自我を持ったロボットと共に戦ったという少年の事を。
……彼と会ったのは、いつが最後だっただろうか? 真理を前にした彼に、僕の創り出した僕をおいてきたが、彼は勝てただろうか?
ぽけっ、とそんな事を考えていると、蒼かった空はいつのまにか曇り、小雨が降り出した。近くに宿屋を見つけると、僕は其処へ歩き出す。
きっと、彼もここに来るだろう。
だって、始まりの核とか、いかにもそんな感じの名前が世界に付いてるし。
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