第二十四話 雷帝と魔狼
「お前がそっちに着いた理由はなんだ?」
雷帝と天頂が軋み合う中震電は問う。決まっているだろうとでも言いたげな表情のまま凌は力を弾けさせる。
「あいつは強いさ。それこそ悠斗より」
それは興味深いと震電は目線を悠斗と対峙している和途へ向ける。
「悠斗と同じ道を通らずに進めると、そう言うのか」
「その通り……っ、さ!」
絶雨、
全方位より襲い来る封絶による射撃に近いような攻撃、
「紫電」
まるで全てをロックオンしたかのように正確にプラズマ弾はその全てを撃ち落とす。
それを予想していた凌の二手目、
「函堕!」
大気がずしりと震電に重りのように乗りかかり、そして自由を奪う。
しかし震電の姿は次の瞬間に消え、
(――磁力!)
奪えなかった物を察した凌が辺りを見回すと、
恐らくは先ほどこの手を読んで撃って置いたのだろう紫電を媒介に震電は脱出していた。
「今のは少し危なかったかな」
言った震電の雷帝が蒼い稲妻を放つ。
「余裕も時間も無いのでな、急がせて貰う」
コギト・エルゴ・スム。
賢者の名に相応しき知恵を持つ彼の背に十枚もの翼が展開される。
其処に襲いかかった凌の力は停止の概念によって静止される。
「っ、」
「さぁ、打ち勝てるか……!?」
「おいおい、勘弁してくれヨ」
狩李はその身体をボロボロにしながら戦っていた。
「言ってるでしょ? 女の子はハッピーエンドじゃないと納得しない物よ」
「困ったわね。その子を壊されると私は悲しいのだけれど」
それでも落ち着いた様子で結奈は言う、そして其処に草薙の剣が襲いかかり、狩李がその体を使ってそれを受け止める。
「……お人形さんごっこは良いけれど、それを盾にするのはどうかしらね?」
「所詮人形なンざ人形に過ぎねエだろうが」
左腕がぶらりと垂れ下がったまま右手の中指を立てて憐奈に狩李は向けてみせる。
次の瞬間に狩李は憐奈の剣によって切り捨てられた。
「……ここまでやらせておいて逃げないわよねぇ?」
彼女の瞳は余りに冷酷で、結奈が凍るには十分すぎた。
狩李を横目に見た後逃げだそうとした結奈めがけて
「晦冥」
空間をねじ曲げそして彼女は切り裂き、
動かなくなっていた狩李が再びソレを庇う。
「、あ」
憐奈のその呟きと、結奈が振り返るのは同時だった。
上半身まで半端にえぐられた形でソレはぼとりと落ち、何故か逃げようとしていたはずの結奈はそれに駆け寄る。
最早戦闘の意志は感じられない、憐奈は上の階へ向けて歩き出した。
「かなりきついね」
力を発動させた震電に対し、
正直なところ感じたものをそのままに凌は言葉として発する。
それは事実であろうが、しかし油断出来ないと震電は身構える。
「三極終焉」
凌の周囲が結界の様に何かに囲まれ、
そして消滅
「させるか!」
しない。
天頂を空間の形に形成する。一瞬で天頂が空間として認識され消し飛んだ、がまだ手はある!
しかし其処まで読んでいたか、
「トォォォォォォォォォォォォル!!」
凌の目の前に輝くのは雷神の槌、
震電の最も単純で最も威力の高い必殺の一撃。
それに対し凌は全てのソゥハイトを開放してぶつける。
「神喚ィィィィィィ!!」
「ハンマァァァァァァァァァ!!!」
閃光が二つ、衝突した。
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