第十七話 揃い行く役者


 なにはともあれ。世界を繋ぐ場所へと急いだ方が良さそうなのは確かだ。
 ということで震電の言う世界を繋ぐ場所へ向かっている訳なのだが。
「まーだ着かないのー?」
「んー、どうやら俺らが飛ばされたのは結構距離があったみたいでな」
 遥か遠くに見える巨大な城のようなソレ。
 それからユグドラシルやアルトネリコと同じ匂いがする、その為延々と歩いているのだが――。
 歩けど歩けど近づけない。そんな距離から見えているとなると相当な大きさなのだろうか?
 そんな風に考えていると、
「、」
 全員が同時に察したか俺たちは散開し、そしてそのちょうど真ん中に誰かが現れる。
「どうも、初対面の方が何人か居ますが――、自己紹介は必要在りませんよね?」
 言ってそいつはこちらを見る。
「義和」
 誰であるかを視認した和途が呟く。城戸義和、人造人間という存在でこそあるものの、その精巧さは他のそれとは比較出来ず、
 人工的な知能でありながら精神によって作り出されるソゥハイトを所持する存在。
 そしてそんな彼の持つ武器がすらりと宙に現れ幻萼と交差する。
「警告、ですよ和途さん」
「どういうことだ義和!?」
 俺を知っていると言う事は、ソゥハイトは既に覚醒済み。
 敵であるならば手加減なぞすれば恐らくこちらがやられる。
「貴方は今すぐ引き返すべきだ」
「ミーシアを捨ててか? 冗談は止してくれ」
 交え、拮抗したままに、義和は溜息を吐く。
「だからこそ、ですよ。貴方に彼女は救えない」
 言った義和を後ろから総司が一撃を加えようとして、
 ガン、と音を立てて吹き飛ばされる。
「あら、ダメでしょ狩李」
 おっとりとした調子で言葉を発する女性。そして倒れ込んだ総司の上に立っている黒いワンピースの……女の子?
 しかしその両腕と背からは、半端な長さの糸が垂れている。
(操り人形に『入れた』ってことか)
 義和の武器、流光と幻萼を鬩ぎ合わせながらそちらへと意識を傾ける。
「勘弁してくれよマスター、オレが黙ってられるようなんじゃねェのは知ってんだろ?」
 ひゅんひゅん、と虚空をなぎながらナイフを振り回す。
 フェルナヘレンと憐奈が狩李と呼ばれた人形の方を向く。
「自己紹介がまだだったわね。秋宮結奈よ。能力は見ての通り」
 彼女が両手を横に広げると同時、
「オレみてぇな人形をこうして動かす、ってこったァ!」
 見かけに似合わない獰猛な口調と共に狩李と呼ばれた操り人形は跳躍する。
 フェルナヘレンの瞳が紅い絵の具で染められると同時、吸血鬼の姿となった彼女と狩李が視認出来ない速度での戦闘を始める。
 憐奈が隙が出来ればそこを突くとその戦いに意識を集中させ、
 次の瞬間後ろから飛来した弾丸を防ぐ。
「なっ!?」
「――ん、防がれたか」
 また別の人間が其処に立っていた。
「彼は荒城邦仁」
 言いながら義和は軋みあっていた武器と武器を離し、
「それに先日貴方と衝突したカーナー」
 追撃しようとした幻萼の一撃をあっさりと避ける。
「それと貴方のベースが生み出した幻想、その弟に戦友」
 こちらの手札の方が大分有利ですね、と彼は続ける。
 しかしその程度でミーシアを諦めるわけには行かない、和途の目線はそう義和に向けて放たれ、
「残念です。では精々人柱にでもなっていただくとしましょう」
 言って彼は武器をしまう。フェルナヘレンも憐奈も既に戦闘を終了させていて、総司も意識を取り戻していた。
「先ほどから見えているあの城。あそこでお待ちしていますよ」
 黒い転移魔法陣が現れ、彼らは消えていった。
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