第十六話 彼女
「何が何でどうなってこうなったんだか」
洲崎俊哉は困っていた。
色々あって何かを手にしたかと思ったら大がかりな展開に巻き込まれていたから。
「そう深く考えるなって。イベントが在った方が人生は面白いぜ?」
横に立つ男は黒木宵と名乗った、なんでも先ほどの夜宵とかいう少女とはまた別の次元から来ているとか。
ゲートの騒動には関与していなかったそうだが、そもそも俺にはゲートの騒動とやらも夜宵が彼女自身のソゥハイトから聞いたその話を更に聞いた物なのでさっぱり掴めない。
そもそも彼女の幻想だか幻影だかであるそれがなんでその騒動とやらに存在してるんだ?
思い描いた空想の力がこの次元に存在させる事が可能と、つまりはそう言う事か。
だとしたら宵の更に横で卓斗がはしゃいでいるのも無理はない、あのシスコンめ。
それにしても、だ。
あの男――如月真那、とか言ったか。奴は一体何者なんだろうか? 少なくとも一般人と言われても信用は出来ない。
『彼女』の持つ力、それを何かに用いよう、というのが恐らくはあるのだろうが。
「『彼女』」?
目を覚ました憐奈に先ほどの震電の出現以降の説明を終えた後、憐奈が唐突に言ったその二文字を、和途がそのままに呟く。
「うん。『あいつ』はそう言ってた」
頭を押さえながら憐奈は答える。
どんな因縁かは知らないが、彼女の具現したソゥハイトは、恐らくはあの少女だろう。
それにしても――。
「っち、麗華も震電も真那に悠斗まで知ってる癖して俺だけ知らないとはな」
俺の知らないところでどんどんと世界は高速回転していく。
いやはや、争いを好まない人間こそが争いに巻き込まれるものなのだろうか。
そんな事を考えながら憐奈が立ち上がれるようになったのを確認し、歩き出す。
そういえば、あれから春日の奴は黙ったままなのだが大丈夫なのだろうか?
思考している間に、後ろではフェルナヘレンと憐奈が話していた。
どうやら早々にうち解けてくれたようで良かった。
「『彼女』。推測するに、貴方の追っている少女の可能性が高いと俺は思うのですが?」
一人称が俺の古泉みたいな総司はひとまず纏めた意見を俺にぶつけた。
それには俺も賛同する、が。
「だが、あいつの持ってた力は基本的に俺が神殺しとして吸収したはずだ、今更あの子に何があるとは思えない」
「はぁ。じゃあアレですか、お姫様が攫われるのはゲームの鉄則と?」
「さあな。そんな単純な物なら敵さんもさぞかし単純だろうと俺は期待するよ」
ややこしくなければ良いんだが、
そんな風な思考を巡らせるが、それで済むならばこの世界では誰も苦労しない。
それもまた分かり切った表情で、和途は溜息を吐いた。
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