第六話 進んで行く命
雄叫びと共に斬撃が繰り出される。
「甘いよ」
悠斗が、それを薙ぎ払うように一閃する。はじき飛ばされた黒剣ごと、一瞬和途がよろめく。
「ぶっ飛べ!」
黒い一閃が、爆炎の如く吹き荒ぶ。
「黒鷹」
一撃と一撃が相殺する。
幾度斬りつけ合おうと、無駄な物は無駄なのかも知れない。自分は、解っていたのかも知れない。
自身の身体と、相手の身体に、無数の切り傷を見、そう思った。
解りきっていた。だが、信じたくなかった。
自分は特別だと思いたかったのかも知れない。
「遊びは終わりにしようか」
「最後に抗ってみせるさ」
……解っていたんだ。
「天泣」
「幻越」
負ける事くらい。
自身への言い訳、それすらも無意味と化す、天の涙。
稲妻の剣となりて、それは夢人へ突き刺さる。
「っああああああああ!」
「悪いね、君の夢は叶わない」
世界が爆ぜると同時に、和途の意識は途切れた。
「おい、しっかりしろー?」
誰かの声が聞こえる。……なかなかベタな展開である。
「起きろってのに!」
これもベタだが、無理矢理起こすって正直どうなのだろう。という彼の心中の呟きは放置される。
「あー、うん……?」
起きあがって、周りを見渡すと、数人の人物が居た。
「俺は八月朔日凌。お前は?」
「俺? ……晶波卓斗」
この日から、凌がマスターであるギルド、『ニヴルヘイム』での、晶波卓斗の生活が始まった。
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