第三十四話 また、いつかどこかで
目を覚ます。と、其処には見慣れた人物達の顔が在った。
「和途!」
まず聞こえてきたのは卓斗の声。後ろには楓の姿もある。どうやらソゥハイトから人間として蘇生する事が出来たらしい。
「よぅ、卓斗。良かったじゃねぇか」
自分の中の春日がそう言う。そして、それをそのままに僕は呟く。
「良くねぇよ、お前……」
ふと目線を手に向けてみると、何だ、透けてるじゃん。駄目だねぇ、消滅フラグ、ってかフラグってレベルじゃないなこりゃ。確定事項だ。
「傷だの痛みだのは全て回収しましたがね、矢張り……」
「治癒魔法とか幾らかけても駄目だったしね」
けっこうさっぱりとした言葉を放つ総司と麗華。まぁ、コイツ等は全部解ってるだろうから問題ないか。
周りを更に見てみれば、将也に宏邦に義和に……。つまりは全員大集合である。
「ったく、最後の最後に俺を放置してお前を殺しにかかるとはな」
悠斗が呟く。確かに、実力的にはどう考えても悠斗が上、一縷の望みを託してどちらかを殺すなら、悠斗を選ぶべきだっただろう。だけど、春日は答えを知っていた。
「残念ながら、アイツは道連れを探してただけさ。春日和途っていう、な」
言ってる内に、視界が狭まってきた。震電や凌が何か言ってる気がする。アレ、イセリアも居ないか……?
「っち、もう時間切れか」
凌が舌打ちして、同時にフェンリルが吼える。震電が頷く。卓斗は目を逸らしている。悠斗はただ、見つめるだけ。自分たちは辿り着いた、ラグナロクの向こうに、シンセカイに。
だけど、その代償は、自分たちにとっては、なかなかに大きい物で。
そして誰もが無言になる。今、目の前で消えていく少年に、何が見えているのかが、全員解っていたから。
もう、きっと自分達の姿さえ見えず、そして声さえも届かないこの少年が、何を見ているのかが、解ったから。
「そういや、お前天使だったよな」
そう呟くと同時に、謳詠和途は死んだ。
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