終幕 確かな未来図を、求めて


 海辺に、謳詠和途は立っていた。
「おいおい、あの世ってなぁ此処まで普通な感じなんですか?」
 呟いて足下を見ると、足跡が続いていた。波が押し寄せるが、足跡を消すか消さないか、という所でまた海へと引き返していく。
 その足跡を、辿っていく。自分の方が足が大きいために、足跡を踏む度、ソレは自分の足跡に変わっていく。
 そのまま前を見ずに、歩いていく。きっと、その先には、最も欲しかった光景が在るはずだから。
 足跡が不自然に途切れる。
 目の前に落ちているのは、真っ白な羽。


「……ただいま」
 そう呟き、顔を上げる。翼を広げて、飛びでもしたのだろうか、遙か遠くに足跡をつけ、こちらを向いている少女が、笑った。
「おかえり!」
 と言っても、此処に来るのは初めてなのだが、と苦笑すると、彼女もまた笑う。
 そして、こちらへと飛んできた。ふわり、と翼を使って。


 その少女を、思い切り抱きしめる。もう二度と、離さないように。そしてもう一度、彼女が居る場所に帰ってきた少年は、呟く。
「ただいま、ミーシア」
「おかえり、和途」


 おしまい。
前へ/戻る/次へ