第二十二話 急速に加速する終焉への道


 雷帝、山城震電は、鹿部宏邦と対立していた。その際に、悠斗とは別行動、という状態にされた。一対一な為特に支障が在るわけでは無いが、最早調査でも何でもない。まぁ、一度目の激突、あわよくばゲートの事についても探りたかったが。
 いや、だが、既に刻は遅すぎる。
(もう、間に合いはしない、か)
 考え事をしていると、宏邦の放つ刃が飛んでくる。それを雷眼で消し飛ばし、彼自身のソゥハイト、アンスールを“機動”する。
「時間が無いのでな、簡単に片付けさせてもらう」
「それはこちらも同じだよ、雷帝殿」
 言うと同時に、宏邦の後ろに影が浮かぶ。これが鹿部宏邦のソゥハイト、暮雨雀である。一瞬の激突が何回もの衝撃波を生み出し、世界樹を揺さぶる。
「朱津浪!」
 爆発の壁。朱いその爆撃は、一つの巨大な壁となって震電に迫る。震電は雷帝を構え直し、そして、
「大太刀」
 爆撃の壁を、真っ二つにたたき割った。二つに分かれた爆発は震電の真横をかすめ、世界樹の壁に激突し、爆音を立てる。
 それを見もせず、震電は宏邦をまっすぐに見据える。それと同時に、彼の周囲が火に覆われる。プラズマによる発火だ。稲妻が震電を中心に轟き、
「来い」
 その一言と共に炸裂するかのように稲妻が宏邦へと飛ぶ。宏邦がそれを全て爆撃で無効化する。
「トール」
 山城震電は、己のペルソナを発動させた。
「劫火!」
 それを気にも留めず、宏邦は自身の最大の一撃を震電に与えるべく叫ぶ。後ろでは暮雨雀が上に向かって雄叫びを上げている。
「雷神の!」
 トールが唸り、雷帝に高圧のプラズマが集中する。互いが互いの全てを、目の前にいるそれにぶつけようとしている。
「参!」
「鎚!」


 二つが炸裂し、世界樹が大きく揺れる。何があろうと朽ちない筈の世界樹が、中から一瞬だけ炎上し、煙があがる。だが、世界樹の再生能力によって火は消え、そして煙が消えたそこには、
 誰もいなかった。


 死んだのだろうか、それさえも解らないそこで、震電は動いている。宏邦がどうなったのか、それはわかりはしない。ただ、これも予定の内ではあった。
 ……大分、時間が狂ってしまっているが。
 震電は魂だけを持ちながら、世界の中心へと向かう。地中の奥深く、地球というその一つの惑星の中心へと。
 巨大なツタに絡まれた、一つの扉が、そこにあった。周囲には、途轍もない量の電霊達。震電は、飛び来る電霊達と、戦い始めた。
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