第六話 終焉を幾ら望んでも


 腕を突き出すと同時に、光の柱が悠斗を殺そうと一直線に展開される。が、それをひらりと上に跳んで避けた悠斗は、そのまま光の柱に乗り、こちらへと走り出す。
(っ!)
 攻撃判定を『光の柱の先端』ではなく『光の全て』に変更するその前に、悠斗は和途の目の前に辿り着く。短刀がその右目を捉えようとし、
 そして、右の目は抉られた。


「っが、ぁ!」


 一瞬絶叫が上がりかけるが、そんな暇さえも与えることなく悠斗はこちらへと飛び込んでくる。故に、生きるために、今この場のこの苦痛を耐える。
「おおおぉ!」
 抉られ、機能を停止させた右の眼球から、レーザーの様な光が放たれる。不意を付いたか、ソレは悠斗の眼前まで迫った物の、目の前で屈折し、方向を変えられた。
「……っち、方向の認識を狂わせやがったな」
「何だ、既に俺の固有結界に居ることは気づいてたか」
 悠斗の固有結界は、万物の認識、解読の操作を可能とする代物。単純に人間を相手にするならば、相手に酸素という物を認識させなければ手を上げる事無く殺せる。
 が、生憎、既に和途はヒトでは無かった。酸素が無いとしても関係は無い。彼が死ぬのは――、精神と肉体が死ぬ、その時。
(負けて、たまるか)
 思いを刃に込め、目の前にいる敵を殺すためだけに一撃を放つ。が、それさえもあっさりと受け流され、そして悠斗がこちらへと斬りかかる。
 そんな攻防が、まるで定められた劇でも行うかのようにずっと続けられる。恐らく、ヒトならばとっくに死んで居るであろう程の時間。


 だが、世界に永久という物は存在しない。


「終わりは……来る」
「あぁ、終わらせてやる」


 互いが互い、最後の一撃を構える。


(開け、パンドラ……)
「藤薙流奥義……!」


 全てを乗せた互いの一撃が、目の前に居るソレを殺そうと、吼える。


「幻越!」
「天泣!」
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