第十四話 その空に手が届くハズも無く


和途《っはぁ、はぁ、はぁ……。……ふぅ。》

荒くなった息をひとまず落ち着ける。


まだまだ数のあるそれらと戦い続けるのは得策ではない。
取り敢えず、突破口を開き、そこら辺で隠れている。


無論、人が居るかも知れない方へと向かう奴らは容赦なく消しに出るが。


和途《でも……。》
  「あそこまで弱けりゃ、大丈夫だな。」

朱の瞳も、銀の髪も、黒へと戻る。








悠斗「ほぉ、クイーンが……? こりゃあ面白い、な。」

完全に見物を決め込む悠斗。

その目の前で戦う二人の女王、


ヘル「はあぁっっ!」

その内に月の力、その慈愛のみを受け生まれた妹であるマーニを封印した女王。
狂気と慈愛を手に入れた月は、


太陽に、敗北した。

大地の巫女、更に異界の魔術使いの力さえも受け再び世界へと存在を現した彼女、

その手から放たれるは漆黒の波動。

イセリア「デス……『下等』黒魔術、ね?」

黒ドレスの女の指先から放たれる小さな暗黒の灯火、ソレと漆黒の波動が、

相殺する。



ヘル「其処!」

弾け飛んだ漆黒の霧に一瞬視界が阻まれる、


その隙、Qはイセリアの背後へと回り込んだ、

イセリア(……デスサイズっ!?)

ヒュウ、と風を切りながら、迫り来る死神鎌を飛んで避ける。



その切っ先から出た黒き刃が、悠斗へと向かう。

悠斗「姉さん。」


そう言いながら、悠斗が黒き刃に人差し指を差し出す。

悠斗「本気でやっていいよ?」


指一本、ソレによりその刃は弾かれた。


ヘル「な――!」

イセリア「……バレても、知らないわよ?」

正面、着地、


そして、

イセリア「ハイ、おしまい。」



爆発。









和途「な、何だぁ!?」

取り敢えず解った、何かは解らない、とにかく、バカでかい力。
方角……いや、方角は既に過去の知識か……いや、ともかく。


力の在った方角は、東。……のような気がする……。
と、


いつの間にか周りにグール達が集まっていた。

和途「……ックソが!」


一気に、全てを焼却する。


和途(卓斗、頼むぞ……!?)







悠斗「……感付かれたみたいだな。大量に来てるぜ?」

麗華を抱きかかえたイセリアが、それに応える。
イセリア「だから本気出さなかったのに……。あ、それと、リタちゃんの方は助けられなかったからね?」


悠斗「構わないさ、ソレをやる奴は俺じゃないんでね。」


壊れた結界から覗く太陽を見上げながら、悠斗は呟く。

イセリア「それに、貴方の友達、みんな外に居るみたいだけど? 行かなくて良いの?」
悠斗「ソレも構わない。アイツ等と俺は、目的さえ違えば斬り結ぶ、ソレだけさ。それに――。」


悠斗が、『真理』を見、目を細める。

悠斗「アイツ等は、此処に来なくちゃいけないんだよ。」



俺と、コイツを賭けて殺し合う為に。

そう、呟いた。
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