第六話 昇る灯
太陽少年が、眼を開ける。
ジャンゴ「ふぁぁ……」
典型的なあくびをした後、彼の顔は暗くなる。
ジャンゴ(夢じゃなかった、か……)
突如サン・ミゲル――いや、世紀末世界全体を襲った謎の大地震。
恐らく自然の物では無いであろうそれによって失われた一つの命。
自分が、自分の内の闇を恐れていなければ救えたであろう一つの命。
いつも自分を支えてくれた、大いなる大地の巫女。
ジャンゴ(……リタ……!)
おてんこ様の協力によって、自身の内部に吸収することにより、
魂の保存を行ったが、未だ彼女が自分の中で目覚める気配は無い。
そして、自分とリタの繋ぎとなるために自分に吸収されたおてんこ様も、だ。
ジャンゴ(どうすればいいんだろう、なぁ……)
取り敢えず、今いる建物の周囲に居たグールは一掃した。
サン・ミゲルの住人達を探したが、どこにも居なかった。
否、自分だけが別の場所へと「飛ばされた」のだ。
地震が起き、全員の――リタを除いてだが――生存を確認した後、
自分は飛ばされた。
どう行動するべきか分からないが、今するべき事は。
ジャンゴ「其処に居るのは分かってる、出て来いよ、伯爵。」
そう言いながら、「全き剣」の異名を持つ、神剣グラムを抜く。
伯爵「……流石だな、ジャンゴよ。」
物陰から現れた、というよりは、そこにある影から抜け出てきた、という表現が正しいと言えるような登場をする伯爵。
ジャンゴ「……」
油断無く、ジャンゴはグラムを構えている。
激戦を潜り抜けてきた少年の眼光は、年相応とは言えない、鋭いモノである。
伯爵「剣を収めろ、戦うつもりはない。」
ジャンゴの雰囲気が、一瞬だけ変わった。
伯爵「戦うつもりは、な。」
次の瞬間、伯爵はジャンゴの懐に居た。
鳩尾に正拳突きを見事に食らったジャンゴは、力無く倒れ込む。
伯爵の周囲に現れたパイルドライバーは、作動することは無かった。
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