第二十九話 終わった終わりの中で
で、城。
卓斗がやけに落ち着かない様子で歩き回る。
悠斗「座ってたらどうだ? ンな事やってたって、アイツの勝敗には関係しねぇさ。」
卓斗が一瞬悠斗を睨んだ瞬間、
王の間のドアが開かれる。
和途「あ、天界潰れたぞー。」
魔界人(つまり悠斗達が占領した世界の住人)の雄叫びが聞こえる。
彼等の世界に存在した敵対勢力が居なくなったのだ、そりゃ叫びもするだろう。
その雄叫びの中を、和途が歩いていく。
悠斗「よぉ、帰ってきたか。」
和途「あぁ。ま、ね。」
そう応えた和途に、卓斗が飛びつく(というかむしろ跳び蹴り)。
卓斗「帰ってきたかバカヤロー!」
和途「ちょ、ま、俺一応怪我人……。」
バタリ。
麗華(んなベタな……。)
麗華の心中での呟きは、当たり前だが誰にも届くことは無かった。
そして、まぁ、どんちゃん騒ぎ。
主催、イセリア。
宵と凌は逃げられず。
で、治療室、和途が眼を開ける。
和途「んぁ〜、良く寝た。」
卓斗「ぉ、起きた。」
和途が目を覚ますと、卓斗達がベッドを囲んで座っていた。
遠いところから宵と凌の悲鳴が聞こえる。
和途(……あ、何か真那が頭の中で暴れてる……。)
トラウマか? などとどうでもいいことを考える。
取り敢えず、騒ぐだけ騒いで、寝た。
翌日、だった。
卓斗にたたき起こされると、其処は
例の、グールに突き落とされた崖。
和途「……城はどこ行った……?」
完全パニック状態。
悠斗「消えた、よ。全部な。」
ふと、横には悠斗が居た。
悠斗「麗華達も、みんなもう消えた。
いや、帰った、と言うべきかな。次元の歪みが治り始めたんだよ。」
そっか、と和途が呟く。
和途「……終わりなんだ。」
そうだな、と横で悠斗が応える。
悠斗「さて、次元連結エネルギー使用して留まってたが、そろそろ限界だな。
アバヨ。それなりに楽しかったぜ。」
そう呟くと、悠斗は姿を消していった。
和途「……嵐のごとく、だな……。」
卓斗「いやぁ、長いようで短い冒険だったな!」
で、一段落。
という訳ではない。
結局、大地震の傷痕は癒えないだろう。
このまま、自分たちは老いて、死んでゆくのだろう。
何一つ、後の世に残さずに。
和途「……超高度先史文明、だっけか? ああいうのと同じ感じになるのかね。」
卓斗「……かもな。もう二度と――少なくとも、俺達の生きている間は、
こないだまで俺達が生きていた世界に戻ることはないだろうな。」
崖っぷち、二人の少年が呟いた。
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