第二十八話 刹那、戦い、終えて


倒れ込んでいた凌と宵の視界に、人影が映る。

凌(え、また敵……?)
死んだな、と一言心中呟くと同時に、声が響く。

悠斗「こんな所で何で寝てんだ、お前等? 退くぞ、急げ。」
宵「……もう終わったのか?」
卓斗「まだ和途が闘ってる。けど、戻ろう。」


卓斗がそう言うと、凌達は立ち上がろうとする。
が、起きあがれない。

ため息を一つついた後、悠斗は軽々と宵を、凌を抱え上げた。
悠斗「急ぐぞ!」
卓斗「……おう!」





漆黒の剣と、白銀の剣が、交差する。


和途「もう一度……、もう一度殺してやるよ!」
章人「悪いな、今度は俺がお前を殺す番だよ!」


刹那、互いが互いをはじき飛ばす。

章人「俺の名を御前が想い出そうと、御前に勝ち目は無いよ!」

終來、
巨大な、黒き剣。
その一撃は、和途に片手で止められる。

和途「悪いが、もう、俺は俺じゃ無いんでね!」
ヒトで無くなったモノ。

互いがソレであり、互いがヒトでもある。


黒き一閃、
ソレは橙色をした六角形の盾――否、壁に防がれる。
和途「A.T.フィールド……!」
章人「そう、お前等はそう呼んだな。
   が、俺のこの領域は単なる領域じゃねぇぞ?」

そのまま、A.T.フィールドが、和途へ向かって飛ばされる。

章人「滅亡、ソレが俺の選んだ世界だ。
   俺に直に触れようとするモノは、消し飛ぶんだよ。」



灰色のローブが翻る。
同時に、和途の瞳が朱眼へ、髪は銀色へ、そして後ろに、
歪んだモノ。


和途「レイプト・ラズトォォォオォォォォォオ!」


その刃は、黒き刃では無かった。
汚れていない、そして聖なるモノでも無い。

其処に存在しないモノを存在させたかのような、


無色透明、ソレでいながら見える剣。


ソレが、絶対なる神の領域を二つに斬って割る。

章人「馬鹿なっ!?」
和途「お前が絶望したこの世界は、お前が思っていたよりいいモンだったよ!」


もう一度、放たれる。


それを防ぐ術は、既に『神』には存在しない。

章人「……クソォォォォォォォ!」

絶対なる存在は、断罪者に斬り落とされた。


和途「……眠り続けろ、永遠に。」

和途がそう一言呟く、それと同時に、
章人「この世界は……浄化するべきなんだ……。
   邪魔は……させないィィィ!」

邪、神でありながらソレを彼は持ってしまった。

故に、
和途「……ゴメンな、章人。お前のこと、本当に殺さなきゃいけなくなった。」

頭部、其処に剣が突き立てられる。

ビクン、と一度だけ体が跳ねたかと思うと、章人は動かなくなり、
灰となり、消えた。

和途「お前は眠ることもないよ。もう『いない』んだから……。」

そう呟くと、元の姿に戻った和途は、神の支えを失い崩壊し始めた城の入り口へと駆けだした。
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