第十四話 一歩手前
吹き飛んだ壁の中からは、真っ黒な球体が飛んできた。
和途「……っあ……!」
その球体が弾け飛んだかと思うと、中には、
傷だらけの和途、そして他二名(つまりアデルと卓斗だが、無論悠斗達は分からない)が居た。
真那「おい、しっかりしろ!」
真那が和途を抱えた瞬間、
ガラリと音を立て、壁の向こう側から、将也が現れた。
将也「よぉ、真那、また会ったな。」
そう言った将也の頬を、弾丸が掠める。
卓斗「……ックソが!」
将也「へぇ、まだまだ元気だねぇ。オトモダチが守ってくれたからかよ?」
将也がそう呟いた瞬間、悠斗が飛び出す。
悠斗「天泣!!」
雷を纏った、その剣を、将也はギリギリ受け止めた。
将也「っと、危ない危ない。お前が相手じゃ、退くしか無いな。」
そう言い残すと、将也は消えていった。
壁の向こう側に存在した気配も消えていく。
卓斗「……ッ和途!」
卓斗が和途の元へ駆け寄るが、返事はない。
アデル「……ぐ……」
うめき声を上げながら、どうにかアデルは起きあがる。
悠斗「ふむ、つまりお前さん達は同級生だった訳だ。」
卓斗「あぁ。……助かるよな、コイツ?」
麗華が治療する横で、悠斗と卓斗はこれまでの経緯を話していた。
悠斗「大丈夫だ。間違いなく。」
そう言うと、悠斗は立ち上がった。
遠方に見えていた玉座には、誰も居なかった。
否、そこは玉座では無かった。
確かに豪華な椅子は置いてあるが、問題はその後ろ。
その後ろの壁には、特殊な力が宿っていた。
イセリアの攻撃でも破れなかった為、気づくのに時間が掛かったが。
悠斗「さて、敵さんはすでに準備完了。
と来れば、やるべき事はただ一つ。」
そう言うと、ゆっくりと、壁の方へ歩き出した。
卓斗「待ってくれ! コイツは……和途は!?」
悠斗「麗華は置いていく。外で凌と宵のヤツが待ってる、一緒に行け。
真那、お前もだ。和途に付いてけ。」
わあったよ、と真那は呟くと、とりあえず止血の済んだ和途を抱き上げ、
麗華達と外へと走り出した。
悠斗「さぁて、ご対面と行きますか?」
その壁は、隠蔽の為だけに作られた、とでも言うように、あっさりと斬り捨てられた。
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