第十話 底知れぬ、沼
ジャンゴが目を覚ますと、そこは奇妙な場所だった。
一瞬どこに居るのか分からなくなる、周囲に木が、炎が、水が在る。
しかも、常に何か変化を遂げていた。木は伸び、炎は炸裂し、
水は凍っては砕け、また水に戻り。
伯爵「気に入って貰えたかね?」
気づいた時には、後ろで伯爵が自分の首に触れていた。
ジャンゴ(……強くなってる……!?)
いや、それよりも。
ジャンゴ「こんな所に連れてきて、何の用だよ。」
伯爵「何、ジャンゴ、貴様には素質が有ることが分かったのだよ。」
そう言うと、伯爵はジャンゴの前に跪く。
途端に、景色が変わり、ジャンゴは玉座に座っていた。
――暗黒城の。
伯爵「『キング・オブ・イモータル』となる素質が、ね。」
次の瞬間、空間を切り裂きながらグラムが伯爵を襲うが、
伯爵は一気に階段近くまで移動し、避ける。
伯爵「そちらがその気ならば、お相手をさせて頂きますぞ、キング。」
ジャンゴ「僕は……」
少し俯いた後、紺色の鋭い眼が、伯爵を捉えた。
ジャンゴ「太陽少年ジャンゴだぁぁ!!」
伯爵「行きますぞ!」
あくまで敬意を払うように一声言うと、血に塗れた赤い槍を伯爵は手に取った。
刹那の間を空け、白銀の大剣と、赤き槍が交差する。
ジャンゴ「ブレードオブソル!」
空中にパイルドライバーが展開したかと思うと、
強力なソル属性を宿したグラムが、赤き槍を圧す。
伯爵「見事ですな。が……」
赤き槍が、黒い光に包まれる。
伯爵「まだまだ甘いですぞ、キングッ!」
神剣は、弾かれた。
ジャンゴ(……くっ……)
ガン・デル・ソルを零距離で発射するが、伯爵は物ともしない。
シェードマンと同じような物か、と言う推測には達したが、
矢張り、闇の力を使う気にはなれない。
ならば。
ジャンゴ「太陽おおおぉぉッッ!!」
更に強い太陽で、消滅させるまで。
自身の内部にあるおてんこ様の力を解放し、ソルジャンゴへとトランスする。
伯爵「ふむ、太陽の力、ですか。」
そう呟くと同時に、伯爵の姿は変化していく。
禍々しく、全てを包む闇の象徴のごとく。
伯爵「これでも、『ジャック・オブ・イモータル』の座を頂いている者でしてな。」
K、Q、そしてJ。Qは今は亡きヘル、そしてJが伯爵なのだ。
だが、自分がKの座につくことは無い。何があろうと。
ジャンゴ「ああああぁぁぁッッ!!」
宙を駆け、伯爵へと接近、一撃をたたき込む。
が、全く持ってダメージを受けている様子がない。
伯爵「……」
一言も呟かずに、伯爵の出した赤い槍は、ジャンゴを容易く貫いた。
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