第二話
同時に何かが爆発する様な音が響き、それを聞いてラセルトは宿屋から進路を変える。
これだけの音がしたならザジもサバタもこの事態に気づくだろう。
やるべき事は一つ、街に入ってこようとする外敵と戦う事だ。
街にはシャイアンも居るし、今ならまだギルドに多少ながらハンターが残っているだろう。
それで対処出来ないような相手だとしたら――。
太陽銃を確認しながら、ラセルトは南側にある入り口へと駆ける。
まだ誰も来ていないそこから、グール達が徒党を組んでやってくる。
意志というものを恐らく持たないであろうグール達がこうして列を為すということは、
こいつらを操る何かが来ている、ということかも知れない。
そう考えながらグラディウスを抜き放ち、そのまま斬りかかる。
先頭の一体目を切り捨て、続けて突っ込んできた二体目を太陽銃で灼く。
ついでにグレネードを向こう側に放っておく。派手な爆発と共に何体かが吹っ飛んだ。
生き残った奴らが再びこちらへと向かってきたところで、投擲された斧がその先頭の首を飛ばした。
「此処は任せろ!」
シャイアンと他のハンター達が見えたので、剣を納めてラセルトは駆け出す。
恐らく他の入り口にも他の人たちが行ってくれただろう。
街の中に居るか、はたまた外に居るか。それは解らないがすぐにこいつらを操る奴を捜さなければ行けない。
数体入り込んだ可能性もあるので、そいつらを駆除しながら回らなければ行けないが。
結界が破られた時点でわざわざ外に居るという可能性は余り考えられないので、
すぐにサバタと合流した方が良さそうだ。
そう考えているとまた爆発音が聞こえた。マミーでも紛れ込んでいるのかも知れない。
そちらへと向き直り走り出す。
到着した其処ではサバタが何者かと戦っていた。
「くっ、……!」
サバタが距離を取れず、普段使わない剣技での戦いを余儀なくされている。
つまり相手はそれだけの実力者、と言う事か。
そこまで考えたところでラセルトはもう一度グラディウスを抜き、飛びかかる。
俺に気づいていたのか、右手に持った剣でサバタを押さえ込みながら、左手をラセルトに向け突き出す。
何もなかったそこから唐突に真っ黒な剣が現れ、彼の剣を止める。
「サバタさん!」
「ラセルトか」
ラセルトの方を見ずにサバタはそう答え、同時に剣を持った人間――年頃はラセルトと同じくらいの少年か――が身体を軸に回転し、二人とも弾き飛ばされる。
「なんだ、こいつ……」
自分と同じ程度の見た目なのに、あり得ない勢いで二人を弾き飛ばした。
「……リュアール、だ」
え? とラセルトは思わず聞き直していた。
だって、リュアールは死んだって俺は聞いている。いや、それ以前に。
何故サバタさんとザジさんの息子が、ここを襲っているんだ……!?
「おしゃべりしてる暇があるのかい?」
そう言って少年――リュアールは両手に暗黒の剣を持ったままこちらへと飛び来る。
サバタの暗黒銃が迷い無く放たれるがそれは切り裂かれる。
太陽銃のエネルギーを宿したグラディウスが二本の剣と真正面からぶつかり合い、
「っぐ!」
弾き飛ばされる。
頭を打ったか、ぐらりと一瞬視界が揺れる。
勿論父にさえ斬りかかる彼がそこで容赦などするハズもなく――。
剣が、肉を裂く音が聞こえた。
前へ/戻る/次へ