第十一話


 昔パイルドライバーが設置されていたという広場に着くと、父が其処に立っていた。
 朝焼けを背負い、ラセルトは一歩一歩、近づく。
 横に立ったリュアールが嬉しそうな顔で、
「僕がダークになるまで後少し。急いで叔父様を殺せば間に合うかもね?」
 そちらの方に目も向けず、ラセルトの歩調はだんだんと早くなり、そして駆け出す。
 駆けながらグラディウスを抜き放ちジャンゴに飛びかかる。それと同時、いつ抜刀したのかも解らない速度で抜き放たれたグラムがそれを止める。
「……ちぇっ、面白くない。『殺せ』」
 自分の思った反応が得られなかったか、リュアールが不機嫌そうに呟くと一息にジャンゴはラセルトを弾き飛ばす。地面を二転三転したそこに闇が弾丸となって放たれるが太陽銃で相殺しすぐさま立ち上がる。
 立ち上がった頃にはリュアールは暗黒転移で消えていたが元々それはラセルトの視界に入っていなかった。
「行くぞ、ラセルト!」
「ああ!」
 おてんこ様の声に応じながら、もう一度ジャンゴへ向かって駆け出す。
 グラムが袈裟に振り下ろされ、それをグラディウスでまともに受ける訳には行かず後ろに退きながら太陽銃を二、三発放つ。
 振り下ろした勢いを無視するかのように大剣を真逆に振るいその全てを叩き斬られた。
 そこに胴を切り落とす様にグラディウスを薙ぐ。闇が盾になろうとしたが、おてんこ様の付加したエンチャントによってそれを易々と切り裂き、剣はジャンゴを斬りつけた。
 次の瞬間にはグラムの腹で殴打されラセルトは吹っ飛んでいた。ジャンゴがそれを逃すまいと上から突き刺す形でグラムを振り下ろす。
 吹き飛ばされた勢いのままラセルトは後ろへと回転する。髪が数本はらりと宙へ消えていくのが見えた。
「そこだぁっ!」
 グラムを地面から抜くまでの動作の内に、ラセルトのグラディウスがジャンゴの身体を切り上げる。
 ジャンゴはグラムから左腕を離し、その左腕がラセルトの胴を狙う。そこを太陽銃で狙い撃ち、ジャンゴの左腕から黒煙が上る。
 そうして立ち回りながら延々と時間だけが過ぎていく。太陽が真上に昇り、太陽銃が熱を持ち始める。ジャンゴの攻撃を受け流す内に、太陽が傾き始める。
 どんどんと巡っていく時間。リュアールがダークとなるまでのタイムリミット。
 太陽が橙色に輝き始める頃には、ラセルトの集中力も少しずつ途切れ
「ラセルト、危ない!」
 おてんこ様の声と、ジャンゴの振るったグラムがラセルトに当たるのは同時だった。
 咄嗟に身体とグラムの間にグラディウスを入れて直撃は免れたが、負った傷は浅くない。
「ぐ、……っ」
 立ち上がり気づく。グラディウスは今の一撃で根本から折れてしまっていた。
 すぐさま剣を投げ捨て、太陽銃を抜く。ここぞとばかりにジャンゴが接近戦を挑み、どうにかその攻撃を避けながら何発か撃つが、数発当たった所でジャンゴが怯む様子はない。
(それでも……俺は!)
 前へ、進む!
 ジャンゴが近づいてくる、更にその近くへ自ら踏み込む。ジャンゴが一歩下がろうとした瞬間を、チャージされている太陽銃が捉えた。
「食らえっ!」
 黒煙が辺り一帯に立ち上り、しかしその中から黒い光を纏ったグラムが姿を現す。
「……くっ!?」
 其処に向けてトリガーを引いたが、限界を超えてまでチャージした為、太陽銃がオーバーヒートを起こしたらしい。
 構う物かと太陽銃をホルダーにしまいながらラセルトはジャンゴに向けて駆け出す。その頃には黒煙も消えて、ジャンゴは黒いグラムを構えこちらへ駆けてきた。
「行け、……ラセルトッ!」
 おてんこ様の叫びと共に、ラセルトの右手に太陽の力が宿る。
 光と闇。二人は互いの全力の一撃を放つ。
 ジャンゴが突き出した黒いグラムをすり抜ける様にして避け、
「おおおおおおおおおおおおああああああああああああああああ!!」
 ソル属性をエンチャントされたラセルトの右手が、ジャンゴの腹部を貫いた。
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