第七話


「で、なんで僕の家なんだよ」
「一軒家に独り暮らしなんてアレゲな展開な住まい方してるのはレアなんだよ」
 そんな理由で拓真の家に突撃してみた。無論義和も一緒である。
「でも本当にやるのか……?」
「だから来たのさ」
 義和が何をしようとしたかと言うと、合わせ鏡だ。
 いやまあ、住居を広く見せるためにやるとかそう言うのもあるらしいが今回はあれだ。
 時間帯に意味がある。
 午前0時ジャストに合わせ鏡を行うと、未来や過去が見えたり、悪魔が召喚されたりとかするらしい。
 簡単に言ってしまうと鏡関連の都市伝説が急浮上してきたので何かしら関連性ないかなよしやろうぜ、とそう言う事だ。頭の悪い説明なのは俺のせいだ。
「家壊れないと良いけどなあ」
「大丈夫です、壊れたら如月さんを呼ぶので」
 ……義和が地味に鬼畜だ。


 そんなこんなで午前0時一分前、鏡を合わせて俺たちはその間に立っていた。
「さてさて、何が出るかな」
 昨日出会った『俺』みたいなのじゃなければ良いんだが。
 余りとんでもない化け物に出現されても対処に困る。
「三、二、一……」
 義和のカウントと共に、午前0時が訪れる。
 そして、
「、ん」
 嗅いだ事のある世界のニオイ、なるほど、過去と接続されたか。
 ……え?
「おかしい」
「どうした春日」
 反対側に嗅いだ事のない世界のニオイがする、つまりそちらは未来を指すはずだ。
 しかし、其処には……、
「何もない、……?」
 義和の目が見開かれる。なるほどこれは驚きだ。
 ……世界が消えるってか、冗談じゃねぇ。
 そこまで考えて新たな事実に気づく、
「おいおいどうなってんだよ……!」
 過去が、途中で途切れている。世界の始点、そこから徐々に徐々に今俺たちの立つ場所へと、破滅が近づいてくる。
 あれが『現在』に追いついたら……。
「アウト、か。まずいですね、時間制限付きとは」
「割とマジでヤバいんじゃないかこれ。時間に制限があるのは解ったがリミットがわからないぞ」
 多少慌てた様に拓真が呟く。ぶっちゃけ俺も投げ出したい。
 くそ、どうすれば良い、どうする……。この事象を起こした存在は何が目的だ、世界の崩壊? 馬鹿な、始点を消去すれば何もかもが消え失せるぞ。
 何も残らないのに得なんてする奴が居るのかってんだ。
「、春日さん、来ます!」
 義和の声と共に黒の右腕を展開する、それと同時に俺の右腕を似た様な見た目の化け物が掴む。
「ち、おまけに悪魔ってかぁ!? 何も全部成立しなくても良いじゃねえか!」
 言いながらその腕を蹴っ飛ばし、鏡の中へ飛び込む。
 左右の反転した拓真の部屋に着地すると同時、窓の外へ向けて悪魔を吹き飛ばす。
 窓を綺麗に割って外に放り出されたそれを追おうと窓枠に足をかけた辺りで義和達が後ろから現れたのが見えた、
 ドゴン。
 悪魔を追って跳び上がると同時、窓枠の辺りが俺の力に当てられて多少壊れていた。
 ……まあ、良いだろう。
 空中で姿勢を立て直した悪魔に右腕を振り下ろすが軽く受け止められ、至近距離で互いの視線が交錯する、
 ――な、に!?
 一瞬の困惑の間に叩き落とされ地面に激突する。
 義和たちがすぐに駆けつけたが悪魔は遠くへと飛んでいった。
「どうしました、春日さん」
「いや、……、おかしい」
 おかしすぎる。何だ、何がどうなってる。
 似ている。
 ――昨日見た、『俺』に。
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