第三話
適当にいつも通り暇を潰している内に夜になった、
「そういう訳でこんばんは」
チャイムを鳴らすのもめんどくさかったので適当に二回にある拓真の部屋まで跳躍し窓を叩く、
当たり前のように窓が開き招き入れられる。
ついでにやっぱり玄関まで持ってくのもめんどくさいので靴は屋根に置いたままだ。
「全く、もう少し別の入り方が無いのかい?」
「何だ、スーツケース的な何かに入ったまま窓でもブチ割れば良かったか」
まかないよ、と適当に返事を返しながら拓真は鏡にかけられた布を取った。
……あれ、
「何にも起きないじゃないか」
「さあ、どうかな」
一人で少しばかり試したか、意地の悪い笑みを浮かべられた。
ちぇー、と呟きながら取り敢えず鏡に手を伸ばしてみる事にする。
……なるほど?
「別の世界、か」
「ついでに言うなら比較的新しい物、だ」
どことなく君の力に似ている、と言われた。
心外だね、
俺の世界はもっと馬鹿みたいにファンタジックだ。
よくよく設定の練られた世界なんてものは間違いなく俺の物じゃ無いね。
そう呟く俺の目に、ひらひらと輝く蝶が見えた。
「鏡の中に……。あれが鏡蝶か」
「みたいだね。さっきまでは居なかったんだけど」
言いながら拓真は鏡の中へ手を入れ、蝶に触れた瞬間、
鏡の中に引きずり込まれた。
「、拓真!」
くそ、様子を見たかったが仕方ないか!
最初の未帰還者なんてのは御免被る。鏡が割れる様な勢いで俺もその後を追って飛び込んだ。
「おい、拓真!?」
くそ、見失った……いや、消えた、か?
世界は白い壁で切り取られていた。これは……鏡に映っている範囲、か。
左右が真逆に映る世界を見渡すが元々鏡に映る範囲などそう広くもなく、少なくとも拓真が消えている事だけは間違いない。
「さて、どうするか」
独り言を呟いていると気配を感じたので振り向く。
敵意は感じない。だが味方でも無さそうだ?
だって、そこに立っているのは――。
「ベタだねぇ」
俺、だ。
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