第二話
そんなこんなで入学式。
前日にゲームやってたせいで寝不足なまま登校。
……勿論式の大半は寝てしまったがまあ気にしない。いつもの事だ。
教室に入り、適当に名簿順で席につく。
「あれ、春日か」
「よう拓真。そういやクラス一緒だっけか」
丁度俺の後ろの席に拓真の奴が来た。
中学の時は特別親しかった訳でもないのだが、知り合いのほとんど居ないこの空間だとまあ俺が話しかけられたのも頷ける。
悠斗? あいつは転校しようが女子にウケる顔だから問題ないだろう死ね(誤字じゃない)。
……ああそうそう、悠斗と言えば。
「拓真、聞いたか?」
「ん? 最初のテストなら来週だってよ」
えー……。
……じゃねぇ。
「冗談だって。僕は如月先輩から聞いたよ。鏡蝶の話だろ?」
茶化すように笑いながら拓真は言った。
ありゃ、真那の奴も動いてるのか。
まあ、何はともあれ鏡蝶だ。
簡単に話せば、新月の夜、鏡の中に蝶が現れる。見た物が心奪われる様なそりゃ綺麗な蝶だそうだ。
そんでもって、それをふらふらーっと掴みに行ったら二度と帰って来れません、っと。
未帰還者がマジで出たとか聞いた事はない。ってことはただの都市伝説なのか?
それにしては何か引っかかるんだよなあ……。
「で、新月っていつよ?」
まあ、あくまで他人からの受け売りで俺自身の知識は皆無なんだが。
とりあえず試してみるか、という俺の意思を汲み取った上で笑いながら拓真は言った。
「今日だね」
「随分と展開が急だな」
別に僕が月齢を操作してる訳じゃ無いだろ? と拓真は笑ってみせる。
確かにその通りなんだがこうもあっさりと日付が進んでしまうとなあ。
まあ、ゲームじゃあるまいし別にイベントまでにレベルを上げなきゃならない訳でもあるまい。
しかし妙だよ、と拓真が呟く。
「どういう事だ?」
「広がりが早すぎる。藤薙先輩がその噂を聞いてからそれほど経っても居ないのにこれだけ離れた場所にまで鏡蝶の噂は飛んできてる」
誰かが意図的に広めてる、ってか?
そんなことして得のある奴は居るのか……?
「誰かが損をするとき、誰かが得をしてる。それは間違い無いさ」
全くだ、と言いながら俺は両手を上げた。
でも、損してる奴って居るのかこの話?
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