第三十四話 終わらない夜を越えて
三つ声が重なり、三人が疑似R.O.C.K.システムによって変身したそのエネルギーに耐えきれなかったか、太陽都市が大きく揺らぐ。
まずいな、このままこれが倒壊したら元の世界に路線を戻そうが意味が無いぞ?
そう考えた次の瞬間、
世界がぐるりと一転した。
まるでそれは終焉を表すかの様な漆黒の空。辺りには何一つ存在しない、世界の終わり。
「死へと誘われるには相応しい場所だろう?」
「ああ、墓は立派な物にしてやるよ」
そう言った悠斗が一瞬にも満たない時間で章人に近寄りそしてその拳は突き刺さる様に彼を穿った。
かに見えたがその右手は章人の左手に止められていた。
禍々しい黒が悠斗の右手を包み込んだ次の瞬間に、
その黒は白い光に浸食される。
「ちっ、」
舌打ちと共に章人が飛び退き、
先ほど彼が放った黒とよく似た色の闇が彼の顔面を捉える。
吹っ飛んだ姿勢のままかなりの距離を吹き飛ぶが、
「あじゃぱー、効いた様子皆無っすね」
ふざけたように春日が言う。
次の瞬間光の剣が彼の首を薙ぐべく虚空を切り裂くがそれは咎人の剣によって防がれ、
「はあっ!」
息を吐き出すと同時、その剣を跳ね上げるようにして生み出された衝撃波が章人にぶつかる。
ぶつかった瞬間それは爆発四散し、白の左腕が張り巡らせた障壁を無傷のままに章人は貫く。
「無駄だ、僕には勝てないっ!」
「知るか」
吼えた章人の一撃をなんなく避け、咎人の剣が彼の首を裂く。
鮮血が飛びそして次の瞬間には首が元の位置に戻る。
あまりにも気味の悪い漆黒の空間。
ただ夜空に煌めく星だけがあたりを照らしている。
終焉を示すかのような色、だがその黒に敗北する訳にはいかない。
「おああっ!」
放たれる終焉、
「フェンリル!」
春日と悠斗の声が重なり、飛び出た魔狼がそれを食らいつくす。
次の瞬間章人の一撃が再び飛来し、
それは歪な世界へと取り込まれ消え去る。
悠斗の剣と章人の光が交差した次の瞬間、見えない地面が隆起し章人を貫く。
「楓っ!」
黒の光の中に宿されたその力を章人に向けて叩き付ける。
それによって彼は一度死にだがしかし生き返る。
死なない体。死ねない体。
なら、死ぬまで殺す!
「焼き尽くせぇっ!」
真那の力をトレースしたか、漆黒の炎が春日を包み込む。
しかしそれは風によって吹き飛び、何事もなかったかのように春日は歩む。
幾千の矢として放たれたそれは悠斗の展開した領域の中に飛び込んだ端から炸裂させられていく。
その全てにソゥハイトの力を見た章人は、
「良いだろう、終わりにしてやる……!」
終焉を喚ぶべくその両手を横に突き出す。
それはまるで黒い十字架の様に見えた。
這い回る闇が春日の右腕に集まる。黒と白の光もただ彼の右手へと集まる。
稲妻が悠斗の周りを駆け抜ける。ゆっくりと、彼は咎人の剣を構える。
「終來……ッ!」
来る終わり。
万物を終わらせるためにそこに生み出された終焉。
上津章人は渾身の力を込めてそれを放つ。
「天泣」
孤独であった少女の雷をその身に、悠斗の剣はその終焉を穿つ。
貫いた先へ。
「行け、和途ォ!」
『――行くよ、和途!』
ここまできて。
彼女の意志は、目を覚ました。
その声を聞いて、
「……あぁ!」
春日はゆっくりと笑った。
悠斗の貫いた終焉のその先へと駆け抜ける。
自分の幻想を、黒の力を、白の力をその右手に、
「う、おおおおおおおおおおおお!!」
固く握りしめた拳は、世界をあるべき姿へ打ち直す。
貫いた終焉は、淡く白い光を零しながら無数の結晶となって消えていった。
その光景を視界に収めながら、春日はその意識を閉じる。
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