第十三話 あの日の太陽


 光弾が機械の一つを撃ち抜く。しかし多勢に無勢、たかが一機を撃とうが、他の何十という機械達がこちらに反撃してくる。
「ちっ、キリが無いな」
 また一機を光弾で撃ち抜くと同時にそのまま物陰に移動する。向こうが放ってきた爆撃を障害物で防ぐ。爆風で帽子が飛びそうになり、慌ててそれを押さえる。
「おてんこ、何か策は無いのか?」
「そんなもの、在ったら既に言っている」
「まあ、それもそうだろうけど……、な」
 ふとレンズを覗くと、バッテリー内の太陽エネルギーが切れている事に気づき、バッテリーを外し、コートの内ポケットに突っ込む。突っ込んだ其処から別のバッテリーを取り出し、太陽銃に入れる。
「それにしても、たった一ヶ月とはな」
「全く、別れを惜しんだあの瞬間を返せって話だ」
 言うと同時に物陰から跳び出す。フレームの一つを敵の向こう側に放り投げ、それに一瞬だけ機械達が視線を逸らした隙に零距離で光弾を当てる。
 数機がその場で破壊され、そして少しだけ開けた所に出る。が、其処でまた一瞬にして機械達が取り囲んでくる。
「リンゴ!」
「慌てるなよ、おてんこ」
 ガチャリと太陽銃からフレームを外し、ポケットに放り込む。そのまま太陽銃を目の前に向け、立つ。
 雪崩れ込むようにして機械達が攻撃を仕掛けようとした瞬間、
 カチリ。
 音を立てて、数秒前に放り投げたフレームが、太陽銃に装着される。知能を持つのだろうか、機械達が何体かは其処から放たれる攻撃をくぐり抜けようとし、大勢は其処から退却しようとする。
 だが、どちらにせよ、
「遅い!」
 太陽銃を持つリンゴを中心に、辺り一面にスプレッドが噴射される。いつ使ったのか、ご丁寧に敵の壁の向こう側にはグレネードまで放られていた。
 派手な炸裂音がした後、其処には何の音も響かなくなった。


「うわ、またコートに穴開いてるじゃないか……」
「仕方がないだろう、そもそもこのような戦いにそんな裾の長い物を着ていてはだな」
「解ったすまん、穴開いても文句言わないから何も言うな」
 カツコツと足音を立てながら、先程の戦いで足場の崩れた其処を歩いていく。元々はアンデット達の居るダンジョンだったが、今となっては地下に街があると言っても良いような状態だ。
 太陽都市が復活した今地上にいれば一瞬で焼き払われるのは目に見えている(元々何の為にあったかは知らないが、対人放火だけが可能で、地下など、この星自体を打ち砕く事は出来ないようだ)。
 もしかすれば月にある月光仔達の都市に太陽都市の砲撃を無力化出来る物があるかも知れないという事でこうして月まで飛ぶ為の方法を探しているのだが……。
「此処も外れ、か」 
「仕方がない、次の所へ行こう」
「それにしてもおてんこ、直接太陽都市に乗り込むっていうのはどうなんだ?」
「矢張りそれは無理だろう。転移魔法陣を創り出しても彼処に辿り着くまでに恐らく墜とされる」
 其処まで会話をした瞬間、奥の方で銃声が響く。恐らくは何処かに機械達が潜んでいたのだろう。
「おてんこ!」
「……、向こうだ!」
 一瞬だけ考え込むように停止した後、矢のようにおてんこ様は飛びだした。
 それを追ってリンゴも全力で駆け出す。
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