第一話 E−1−NA
「エイナ? おい、エイナー?」
何だよ、もうちっと寝かせてくれても良いんじゃねぇの?
昨日やっと魔神ノ右腕(イビルアーム)の再調査終わったんだからさぁ……。
「おい、緊急集合だってよ! 起きろ、エイナ!」
「マジかっ!」
嘘吐いてどうするよ、と俺の横で答えたコイツは晶波卓斗。
この研究所に来てからの付き合いだ。えーっと……えーっと……うん、丸14年。
にしても緊急集合だ? かったりぃ。
手早く着替えを済ませて、卓斗と共に飛び出す。
え、あー、えっと、自己紹介してなかったな。
俺はE−1−NA、人間だ。人間だぞ? ロボットじゃないぞ?
ただ、親に捨てられていた為に今俺が居る研究所――通称『機関』――に連れてこられ、特殊な力を持っていた為、実験材料として生かされているだけだ。
だから、俺の名前は、披見体、番号E−1−NA、だ。
で、俺のその特殊能力っつーのは……。
卓斗「エイナ、門閉まる!」
エイナ「げ、マジか……」
チッ、しゃぁねぇ、使いますか。
卓斗の手を掴む。此処だけ見られたら変な後景だが其処は気にするな。
さて。
発動、魔神ノ右腕。
ぴょーい、っと。
「あ、こら、エイナ!」
教官の怒声が聞こえる。
エイナ「だってまだセーフだろ!? 門閉めるのが悪いじゃねぇか!」
生かされてる、とは言え、半ば学校のような物だ、此処は。
卓斗「いやぁ、相変わらず高く飛ぶねぇ」
で、さぁ。と卓斗が付け足す。何よ?
卓斗「このままだと壁にぶつかるんですが?」
ん?
……。
エイナ「のわぁぁぁぁぁ!」
シタタタタッ、と謎の効果音を出しながら壁を蹴って登る。危ねぇ……。
何はともあれ、機関に到着。
緊急集合って何だろな?
さて。
「魔神ノ右腕、発動してくれるかな?」
ほいほい了解。
再実験らしい、どうやら、ね。
エイナ「魔神ノ右腕、発動」
ばきばき、と嫌な音を立てながら俺の腕が化け物になってゆく。
あぁ、爽快なんだか嫌なんだか。
何だ俺、感情欠如っすか?
「さて、本題に入るが」
げ、任務のおまけ付きかよ……。
「今回の任務なんだが」
で、何だ、今回の依頼を要約する前に一つこの辺の噂話でもしようか。
ここら辺の変な昔話に、魔人と魔女の対決が在るそうなんだ。
魔神に抗った魔人と魔女の対決だそうな。
で、結局魔人は破れて、魔女がその骸を拾い、首飾りにして首にかけてあるらしいのさ。
で、その魔人の魂は魔神の右腕に定着したらしい。
が、何処ぞの世界との大戦時に魔神が右腕を狩られ、どっかの人間がそれを手にしたらしく、その右腕は世界を未だ漂流しているそうな。
で、機関の一説によれば、俺の魔神ノ右腕がそれだと言うらしい。
ふざけんな、と。
で、更に。
エイナ「で、一つ質問があるんですが」
「何だ?」
いや、なんだじゃないだろ。だってよ、
エイナ「今回の任務、何でよりにもよって」
そう、よりにもよって、
エイナ「『骸魔女の捕獲』なんですか!?」
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