第三十一話 終焉を操る者、終焉を防ぐ者
太陽都市内を駆け上がっていくうち、コピー・ロックマン達と戦闘している卓斗達が目に入った。
向こうはこちらに対しての警戒は解いていないだろうが……。
「嘆唄っ!」
展開した魔法陣の上にいた機械達が消滅する。
それを見て卓斗達はこちらへと振り返り、そして構える。
「如月真那!?」
俺の名は思い出したが、どうやら他のことは知らないらしい。
なるほど、楓ちゃんもこいつは出来るだけ日常に帰したい、とそういう訳か。
適当に立ち回らせてもらおうかね、そんじゃ。
「鳴神さんをどうしたの」
緋芽の目線がこちらを射貫く。怖い怖い。
「下に居るさ、何なら会いに行けばいい」
俺は先に進ませてもらう、と真那は歩みを進める。
敵対しないならいつかのように危害は加えないさ、と付け足して。
「……行こう、篠鐘」
「解ったわよ」
俺に戦う意志がないならわざわざ戦うこともないと判断してくれたようだ。
ありがたい、手を抜いて戦うのは趣味でも無い上に苦手なんだ。
「一気に抜けるぞ」
宣言と同時、真那は全力で前に飛び出す。
それに続くようにして卓斗も駆け出し、群れをなす敵達をなぎ払う。
元々春日の生み出した存在である真那は、卓斗ともどうやら相性が良いらしい。
そのまま最上階まで駆け上がる。
全ての兵を使ったか、そこにはもうコピー・ロックマンも異能達も居なかった。
ただそこに立つモデルS適合者天羽凌と、
奥に置かれた玉座に立つ上津章人のみ。
「天羽先輩……!?」
卓斗が驚きを隠せずそう言った。篠鐘も同じ感想を持ったらしい。
今までモデルSとしての姿しか見ていなかったから気づかなかった。
ここで一つ解ったのは、日頃普通に学生として生活していた彼がこの件に関与していたと言うこと。
「来たぜ上津章人」
「やはり僕の名はそれなんだね」
興味無さ気にそう呟きながら彼が指を鳴らした瞬間、
モデルSにロックオンした凌がこちらへと襲いかかるが真那はそれに視線すら向けず、
卓斗と篠鐘の両名がそのセイバーを押さえ込んだ。
「アンタならなんとかなるかもしれないんでしょ!?」
今だけの味方かもしれないが、一番強い相手には一番強いカードをぶつけるべきだ。
つまりモデルSは自分たちが押さえ込む。
「そうさせてもらいますかね?」
言った真那の足下が炸裂し、彼は飛ぶように駆ける。
ライブメタルを構え、そして章人は言う、
「ロックオン」
時が制止するかのように終焉のロックマンは目を覚ます。
だが如月真那のペルソナであるユグドラシル、それは終焉にすら耐える世界樹。
「ユグドラシルっ!」
雄叫びと共に彼の後ろにゆがんだ影が浮かぶ。
ラグナロクをその身に宿すロックマン。
「モデルRとでも呼んでもらおうか」
「墓にはそう刻んでやろうか」
灯疾とセイバーが交差するなか言葉を交わす。
次の瞬間灯疾がセイバーを弾く。弾いたその体勢から無理矢理にそれを振り下ろすがあっさりとそれは避けられる。
「ぐ、ぅ」
シュヴルツとセイバーがせめぎ合うが、ソゥハイトのみでしか肉体強化を受けていない卓斗は、力負けし段々と押されている。
セイバーを持つ凌を後ろから篠鐘の矢が襲う。
ガキンと派手な音を立ててセイバーがシュヴルツをはじき飛ばし、卓斗が大きく体勢を崩す。
すぐさま後ろを向いてバスターが矢と衝突し、たたき落とした。
「さあ、来いよ」
笑みを浮かべながら天羽凌はそう言った。
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