世界が見る夢
あれから結構な時間が経った。
シンセカイのサン・ミゲルの復旧も終わったし、
こちらに来ていたフェルナヘレンも完全にヴァンパイアという力から開放された。
それでももう一人の彼女はしっかりと居るらしい。不思議な物だ。
ジャンゴも開放され、リタと仲良く生活している。
おかげさまで俺も以前フェルナヘレンに噛まれたそれの治療を終える事が出来た。
その為、既にオメガブレイカーはその活動を停止させている。
夜宵はこちらで凌の手伝いをしているし、宵はしょっちゅう気まぐれでこちらを訪れる。
イセリアさんは真那と一緒によく俺とミーシアをからかいに来る。
悠斗は害のある魔物だけを狩る仕事を続けていたりしていた。
震電はまだまだ学ぶ事があると世界を渡るために旅立っていった。機械文明の栄えた場所に今はいるらしい。
卓斗の奴は本格的に凌のギルドで生活を始めていた。楓ちゃんも手伝いをしているらしい。
義和や宏邦に将也は麗華に手伝わされて、総司と共に人形を作り上げていた。
なんでも憐奈が麗華に頼んだらしい。
春日が言うには、
パンドラボックスの方も以前と同じ平穏な状態のようだ。
俺ごと斬るかと思って冷や冷やした、と章人に苦情を言われた以外は問題ないそうだ。
全ての異質を失ったあいつは、きっとあの世界で生きていくんだろう。
今回の戦いの舞台になった、コア。
あそこに居た憐奈や総司。卓斗に俊哉達も、
並行世界の存在を知ってそれに興味を持ったのか、
よく別次元の自分たちと交流している様だ。
始まりの核。
そんな名前を付けられたあの世界はきっと、
世界の幸せが始まる、その中心だったのだろう。
え? 僕と彼女はどうしてるかって、
「和途、すごいよ!」
がちゃりと家の扉を開けてミーシアが飛び込んでくる。
一体何がすごいのかと聞いてみると手を引っ張って連れて行かれた。
「う、わ」
外には白銀の世界が広がっていた。
サン・ミゲルはいつの間にか降り出していた雪によって白く染まっていて、
雪という珍しい天候に、皆が皆、外に出てきていた。
「綺麗だね」
「……ん」
ミーシアの手を握ったまま、一言そう呟いた。
まるで最後、世界が僕に力をくれた時の様な、白く儚いその色。
それを見て、もう一度思ったんだ。
ああ、僕たちは此処に居るんだ。
みんなが、空を見上げた。
きっと、どの世界に居るかも関係なく、全ての世界の人間が見ただろう。
だってアレは、俺たちがみんなで紡いだ、夢の結晶。
一番大切な人と手を繋ぎながら、俺はそれを見た。
希望を照らす、白い鳥。
それは、白く澄んだ空を駆けて行った。
ねばーえんど。
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