失くした夢を、続きから
「早くしろよ、和途!」
「章人が早いんだって」
二人の少年が道路を走っていく。今日は夏祭り、つまりは遊んで遊んで遊び抜く日な訳である。
足が速いというこの年代の子供にとって最大とも言えるステータスを持つ章人はどんどんと和途から遠ざかっていく。
それを追って、和途が走っていく。段々と、夏祭りの行われる神社が見えてきた。
夏祭りも終わりが近づき、花火が上がっていく。
楽しい時間という物に限って早く感じたりする物だが、本当に早い。
まるで、これで世界が終わってしまうかのように。
「たーまやー!」
二人して叫びながら鳥居の下から花火を見上げる。
パン、と大きな音を立てながら花を咲かせた灯火は、儚く散って消えていく。
……まぁ、花火はどんどんと上がっていくので、この年代の子供は散っていくところなぞ見ないのだが。
そして夜中。流石にそろそろ帰らないと親に怒られるだろうと予想した二人(というか既に怒られる時間帯だと自覚)。
また走って帰っていく。
「じゃあなー!」
「また明日ー!」
手を振って、二人は別れた。また明日、というその言葉の意味を、少年達は後に考えることとなる。
この夏の日から、もう一度僕は彼と歩いていく。
それが僕の願いです、カミサマ。
もし、それが叶ったら――。
僕は、また彼に手をふれるから。
おしまい。
前へ/戻る/次へ